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2014.09.22 Monday

【廃棄物】八ッ場ダム建設:移転先のスラグ、国際基準「最も危険」(群馬)

 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地に有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が使われていた問題で、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は18日、現地調査を始めた。毎日新聞の報道から1カ月余。このスラグは皮膚や目への有害性が国際基準で最も危険とされ、取り扱う人に保護手袋などの着用が求められているにもかかわらず、現地の住宅建設予定地では庭の砂利としてむき出しのまま置かれている場所もある。専門家は早期撤去が必要と強調している。

 この日の調査には建設資材の専門家も参加し、代替地でスラグの疑いがある砕石を確認。成分を調べる試薬を吹きかけたところ、スラグの特徴であるアルカリ性を示した。今後、専門の鑑定機関で分析する。
 スラグは鉄の精製時に排出され、石や砂の形状をしている。そのままでは廃棄物処理法上の産業廃棄物だが、「再生資源」として道路の路盤など一部での使用が国に認められている。しかし、八ッ場ダムでは、大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から出たとみられるスラグが渋川市の建設会社に引き渡された後、水没予定地区住民の移転代替住宅地の盛り土などに許可なく使われていた。

 スラグなど特定の化学物質を含む製品を取引する際は、有害性の分類や表示の方法を国際的に定めた「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(GHS=グローバリー・ハーモナイズド・システム)に基づき「安全データシート」と呼ばれる文書を作成する。大同作成の同文書によると、「健康に対する有害性」のうち「皮膚腐食性/刺激性」と「眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性」は、GHS分類で最も危険とされる「区分1」。「特定標的臓器毒性(反復暴露)」は「区分2(呼吸器系)」と記されていた。


 「有害性情報」の欄には「水に接触するとアルカリ性(pH9~12)を呈し、角膜、鼻の内部組織、皮膚に炎症を起こす可能性があり」「呼吸器感作性・皮膚感作性があるクロム化合物を2~3%含有する」などと有害の要因や成分を記載。「安全対策」として「適切な保護具(保護手袋・保護衣・保護眼鏡・保護面・呼吸用保護具)を着用すること」などを求めていた。

 スラグと同じく皮膚や目への影響が「区分1」とされる身近な製品には強力アルカリ洗剤や漂白剤がある。日本中毒情報センターが2008年に受けた家庭用(ネット購入可の業務用含む)洗浄剤等に関する3085件の問い合わせから1454件を厚生労働省が抽出調査したところ、568件(39%)は問い合わせ時点で何らかの症状があった。

 スラグは八ッ場ダムのほか、渋川市の遊園地の駐車場や公園の遊歩道などでもむきだしのまま使われている。大同は「除去が必要な場合は県の指導を受けながら使用先と対応を協議して誠意を持って協力させていただく」とコメント。同市の建設会社は「各機関からの問い合わせに苦慮しており、取材はご勘弁を」と文書で回答した。

■ことば
 ◇GHS
 化学品の危険性や有害性をわかりやすく分類するために2003年7月の国連の勧告により設けられた世界統一基準。炎やどくろなど9種類の絵表示や注意書きを用いて人体や環境に対する危険性の種類や程度を区分する。国連によると、日本など67カ国が既に導入または導入を検討している。

出典: 2014/09/19付 毎日新聞 朝刊

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