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2012.07.13 Friday

【大気】排気不十分、循環か 地下での印刷、刺激臭 胆管がん7人死亡(大阪)

 大阪市内の印刷会社で12人が胆管がんを発症、うち7人が亡くなっている問題で、法律の規則で 定められた排気装置がなかった疑いが強まった。有害物質を含む空気が循環し、換気が不十分だった恐れもある。窓もない作業場の劣悪な環境が長年続き、従業員の健康をむしばんだとみられる。

「作業場では校正印刷機の下に空気の吸い込み口があり、頭上の吹き出し口からも洗浄剤の刺激 臭がしていた。循環する仕組みなんだと上司がいっていた」。1990年代後半からこの会社で働いていた30代の元従業員は話す。

作業場は91年、地下1階に完成。100平方メートルほどで校正印刷機は少なくとも6台あった。印刷 見本を刷る仕事で頻繁にインクを落とすため、洗浄作業はマスクもつけずに1日300~1千回に及んだ。
 
◆キーワード
<洗浄剤>
印刷用のインクを落とす液体で、揮発性の高い有機溶剤が含まれる。有機溶剤は印刷業や塗装業 で使用。有害性があり呼吸器や皮膚から吸収され、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則で、局 所排気装置の設置や尿中のたんぱくなどを調べる健康診断が義務付けられている。ジクロロメタンは 規則の対象。1、2ジクロロプロパンは対象外。

出典: 2012/7/8 朝日新聞 朝刊


 印刷業関係者によると、きれいな色を出すには室温約25度、湿度55%が理想だ。窓もない地下な ら密閉性が高い。会社のPR文には「外気を完全にシャットアウト」とある。社長は温度と湿度を完全に 管理できる「西日本一の環境や」と自慢していたという。同業者はこの作業場に入った際「臭いがきつく5分足らずで頭がクラクラした」。別の同業者はおもに有害性の低い洗浄剤を使用。定期的に窓を開けて換気している。「地下は最高の環境やけど、人間には最悪や」

洗浄剤に含まれる化学物質「ジクロロメタン」「1、2ジクロロプロパン」が発症原因となった可能性が指摘されており、気化した両物質が作業場に循環していた疑いがある。

労働安全衛生法上、有機溶剤の規則では、ジクロロメタンを使う場合「局所排気装置」の設置が義務 づけられている。発散源のすぐ近くに取りつけたフードで吸い込み排気する仕組みだが、この物質を 使っていた90年代、1メートル程離れた校正印刷機の下に吸い込み口があったと元従業員は話す。会社は装置を取りつけていなかった可能性が高い。

厚生労働省は、局所排気装置付きの校正印刷機を入れたのは数年前で、それまでは換気されたも のの大部分が作業場にもどってくる設計だったとする。

90年代にここで働き40代で亡くなった男性の親族によると、「換気が十分でない」と男性は会社に 何度も訴えたが改善されなかった。「有害性の認識があり、何もしなかったのなら許し難い」と親族は憤る。

●安全管理者なし、職長教育せず 6項目の是正勧告

定期健康診断結果を報告していなかった。産業医、衛生管理者、安全管理者をおいていなかった。 衛生委員会もなく、作業リーダーの「職長教育」もしていなかった。厚生労働省は5、6月にかけ、会社 に対して少なくとも六つの事柄について是正勧告した。

いずれも従業員の安全や健康を守る上で欠かせないものだ。たとえば「衛生管理者」は病気で死亡 した人の統計をとったり、不調を訴える人の発見に努めたりする役割がある。安衛法では従業員50人 以上の事業所に対して選任を義務づけており、同社も対象だった。

「従業員の健康より製品、もうけ優先。いまの時代にこんな会社があったのか」と厚労省関係者は驚 く。厚労省は全国約500の印刷事業所を調査し、作業環境や健康被害、法令順守の状況について 近く結果を発表する。「これほどひどい会社が全国にどれだけあるのかということだ」

関西労働者安全センターの片岡明彦事務局次長は、「胆管がんの発症が相次いでいることを会社 はもっと早くつかめたはずだ。どんな対応をしていたのか明らかにすべきだ」と話す。

出典: 2012/7/8 朝日新聞 朝刊

コンプライアンス事例 — ebablog @ 9:25 am

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