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【化学物質・水質】 環境省、内分泌撹乱作用の試験・評価法開発を加速(全国)

 環境省は、化学物質の内分泌かく乱作用評価に向けた試験法の開発を加速する。現在のリスク評価計画「EXTEND2010」をベースに、新たな枠組みとして「EXTEND2015」(仮称)を来年度中に策定する。エストロゲン(女性ホルモン)様作用などを対象に試験法を順次確立し、有害性評価を急ぐ。20年までに3物質程度のリスク管理開始を目指す。リスク管理に際しては法規制も視野に入れる。15年度予算概算要求で今年度当初予算比61%増の3億600万円を計上した。

 環境省は、1998年に策定した「SPEED98」で内分泌かく乱作用の評価に着手した。05年には、試験法開発からリスク評価までを体系化した「ExTEND2005」に刷新。ノニルフェノールなどで作用を確認するとともに、開発した試験法がOECDのガイドラインに採択されるなど成果を上げている。
 10年からは「EXTEND2010」に基づいて107物質を選定。内分泌系への影響を評価する第1段階試験では、エストロン、4-tert-ペンチルフェノールの2物質についてエストロゲン様作用を確認した。有害性を確認する第2段階試験の試験法も完成が近い。しかしアンドロゲン(男性ホルモン)様作用、甲状腺ホルモン作用などで、なお開発途上の試験法が複数ある。
 現在、欧米では内分泌かく乱物質の使用を全面的に規制するとともに、該当物質の指定に向けたリスク評価が進展している。WSSD目標(20年までに化学物質の製造・使用による健康・環境への悪影響を最小化)達成を目指した取り組みの一環。米国は食品品質保護法、飲料水安全法に基づき、農薬・化学企業による分析結果をベースとしたスクリーニングプログラムを実施。欧州でもREACHの下で物質ごとの検討が行われている。
 環境省もWSSD目標をにらみ、計画見直しにより残る試験法の確立、有害性評価を急ぐ。より精密で効率的な革新的評価手法を開発し、国際標準として普及させる。

 20年をめどとするリスク管理の開始にあたっては、化審法、水質汚濁防止法など既存法規制での対応のほか、新法創設も選択肢としていく。


出典:2014/10/03付 化学工業日報
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