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【廃棄物】 県境産廃問題:撤去完了 不法投棄業者破産、解散 総費用477億円(青森)
田子町と岩手県二戸市にまたがる県境の産業廃棄物不法投棄問題で、青森県は12月19日、田子町内の約115万トンの廃棄物と汚染土壌の撤去を終えた。
三村申吾知事が現地に赴き、最後の産廃搬出のトラックの「出発式」を行った。国内最大級の産廃不法投棄問題の処理には、撤去費用や今後の地下水浄化事業なども含め約477億円が費やされる。このうち国からの支援を除いた県の負担額は約173億円。一方で、不法投棄していた業者から回収できたのは5934万円にとどまった。
現場は約27ヘクタールに及び、1級河川・馬淵川水系の上流にあたる。不法投棄は1980年代後半から始まったと見られ、A化学工業(八戸市)とB社(埼玉県)が、汚泥や廃食品、焼却灰、燃えかけの紙おむつや、注射のシリンダー、点滴チューブなどを捨てていた。99年に青森・岩手両県警が廃棄物処理法違反の疑いで強制捜査に着手したほか、両県が2000年から両社などに廃棄物撤去を求める措置命令を出したが、B社は同年に破産し、A化学工業も01年に解散し、両者による撤去は実現しなかった。
両県は結局、03年6月に成立した産廃特措法に基づく国の財政支援を受け、04年から行政代執行による撤去を始めた。両県は、両社に産廃処理を依頼した排出企業約1万2000社の責任も追及。18社に廃棄物撤去(計約610トン)を求める措置命令を出し、5社には行政代執行の費用の納付命令(計約298万円)を出した。また、24社が自主撤去や費用拠出を申し出、県は約4億9109万円を受け入れた。
県の神重則・県境再生対策室長は「首都圏のゴミで苦しんできた。撤去完了は節目ではあるが、喜ぶわけにはいかない。他県に頼らぬゴミ処理が必要」とした。県は22年度まで、現場の地下水の浄化に取り組む計画。岩手県側(35万7542トン)は、来年3月までに撤去完了の見通しという。
出典: 2013/12/20 毎日新聞 地方版