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【土壌】 有害物質検出、公表せず 名古屋市、下水道工事6件(愛知)

 名古屋市上下水道局が発注した下水道工事で土壌検査の偽装が発覚した問題をめぐり、ほぼ同時期に周辺で発注した別の6件の工事に関する土壌検査で環境基準値を超えるフッ素やヒ素が計16地点で検出されながら、いずれも公表していなかったことがわかった。

出典: 朝日新聞 (2012/06/19付)   市は独自の指針で有害物質情報を市民に公表する方針を定めていて、指針に抵触する可能性が出てきた。
 市上下水道局によると、6件は2008~11年にかけて同市港区宝神地区や藤前地区、秋葉地区で発注された下水道敷設工事で、土壌検査の偽装が明らかになった11件の地域と一部が重なっている。

 1970年前後に一般廃棄物が埋め立てられた藤前地区やその周辺で、1件につき1地点から複数地点の土壌検査を実施。汚泥処理をめぐる環境基準値をもとに、フッ素(1リットル当たり0・8ミリグラム以下)やヒ素(1リットル当たり0・01ミリグラム以下)といった有害物質の含有量を調べていた。
 このうち、1件につき1~5地点、計16地点でフッ素かヒ素のいずれか一つ以上が環境基準値を超過。藤前4丁目では環境基準値の47・5倍のフッ素が、宝神4丁目では8・8倍のヒ素がそれぞれ検出されていたが、市上下水道局はいずれも公表を見送っていた。

 名古屋市は05年に土壌汚染の公表に関する独自の指針を策定。環境基準を超えた土壌汚染が発覚した場合の対応として、(1)報道機関への発表(2)市のホームページを通じたインターネット上での公開の二つを定めている。公開対象は土壌汚染対策法や市の条例に基づく報告に限らず、市に寄せられた民間調査も含めている。

 指針の運用を担っている市環境局地域環境対策課の担当者は「名古屋市は土壌汚染対策法の制定前から汚染の公表を先進的に行ってきた。指針は、知り得た土壌汚染はすべて公表するという趣旨だ」と話す。

 これに対し、市上下水道局の安井保・設計第二課長は公表を見送った理由について、朝日新聞の取材に「公表することでその地域の地価が下がったり、風評被害が出たりすると地元のデメリットになる」と説明。また、「非公表の方針を見直すつもりはまったくない」とも語り、有害物質の情報を市民に公開する考えはない姿勢を示した。

 ■名古屋市が非公表にしていた6件16地点の土壌検査データ
    検査地点     検査日       フッ素(mg) ヒ素(mg)
 (1)港区宝神4丁目A 09年 7月16日  1.00   0.045
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 (2)港区宝神4丁目B 11年11月15日  1.9以下  0.05以下
 (3)            11月29日  2.5以下  0.053以下
 (4)            12月13日  0.9以下  0.051以下
 (5)            12月27日  1.7以下  0.029以下
 (6)         12年 2月13日  1.8以下  0.088以下
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 (7)港区藤前1丁目  09年11月11日  0.80   0.053
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 (8)港区藤前4丁目A 08年10月22日  0.84   データなし
 (9)                   データなし   0.047
 (10)            10月27日 データなし   0.016
 (11)                   データなし   0.027
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 (12)港区藤前4丁目B 10年 6月17日 38.00   0.005未満
 (13)             9月16日  0.60   0.048
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 (14)港区秋葉2丁目  10年 6月17日  0.59   0.014
 (15)             6月25日  0.42   0.023
 (16)                    0.31   0.018
 (環境基準値は、1リットル当たりフッ素0.8ミリグラム以下、ヒ素0.01ミリグラム以下)

出典: 朝日新聞 (2012/06/19付)
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