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【水質】老舗酒造業者 基準超す汚水 海に排出容疑で家宅捜索(愛知)
基準を超える汚染水を伊勢湾に流したとして、第四管区海上保安本部・中部空港海上保安航空基地は二十日朝、水質汚濁防止法違反の疑いで、醸造業A社の小鈴谷工場(愛知県常滑市)に家宅捜索に入った。
容疑では、九月四日~十月六日に計六回、水の汚れを示す「浮遊物質量(SS)」が最大で基準値の二十四倍、「化学的酸素要求量(COD)」が七倍の水を、工場排出口から流したとされる。
巡回中の隊員が海水が茶色く濁っているのを見つけ捜査していた。工場では清酒やみそ、しょうゆを製造しており、基地が汚染源の特定などを進めている。
A社は江戸時代初期に小鈴谷村(現・常滑市)で創業した老舗造り酒屋。現在は名古屋市中区に本社がある。
グループ持ち株会社の広報担当者は「現在、事実確認を進めている」と説明した。
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従業員「驚いた」
漁協職員は困惑
中部空港海上保安航空基地の海上保安官約三十人は二十日午前、伊勢湾に面した盛田小鈴谷工場を家宅捜索。メジャーや書類を手に、排水設備の大きさを測って記録し、排水経路を確認していた。
工場は、通常通りに稼働。敷地には大型トラックが頻繁に出入りし、白い作業着に帽子、マスク姿の従業員が忙しく建物内外を行き交っていた。従業員の一人は「汚染水を出していたとは知らず驚いた。今後の仕事に影響が出ないといいが」と懸念した。
近くの伊勢湾でのり養殖やアサリ漁などを手掛ける小鈴谷漁協。男性職員は「工場から汚染水が流れ出たという話は一度も聞いたことがないが、もし本当なら漁業にも影響するかもしれない」と困惑していた。
出典:2014/10/20付 中日新聞夕刊