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【大気】大気への水銀排出規制/鉄鋼設備は対象外/環境省方針/自主管理の仕組み導入(全国)
水銀の排出などを規制する「水俣条約」の批准に向け、関連する国内法の改正を検討している環境省は、大気汚染防止法で定める排出基準に関し、鉄鋼製造設備については順守義務を求めない方針を固めた。代わりに鉄鋼メーカーによる自主的な管理が必要と判断。来年の通常国会に提出する改正案には、鉄鋼設備に対し自主管理を求める文言を盛り込む方向で検討している。
21日の中央環境審議会(環境相の諮問機関)・水銀大気排出対策小委員会で、こうした方針を示した。水俣条約では、大気排出を規制する対象設備として、石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラーなど5分類を規定。鉄鋼製造設備は規制対象外となっている。
ただ、水俣病経験国として条約の趣旨を積極的に捉える観点から、小委員会では鉄鋼製造設備についても何らかの規制が必要との意見が出ていた。
環境省は、小委員会での議論を踏まえ、自主管理の徹底によって規制する場合と同等の効力があると判断。一般事業者よりは積極的な取り組みを求めるものの規制対象とはしない方針を固めた。
小委員会では、自主管理の具体案として、自主管理基準の設定、設備の新増設時の水銀除去設備の設置、排出状況の測定、有識者による評価・公表の仕組みの導入、排出に関する目録策定への協力―などを示した。
環境省は今後、小委員会答申に対する意見募集を経て、大気汚染防止法の改正案づくりに入る。鉄鋼製造設備のうち自主管理の対象とする設備はこれから詰める。
日本の大気への水銀排出量は年間17~21トンで、このうち約25%が鉄鋼製造設備からの排出とされる。日本鉄鋼連盟によると、鉄鋼業の排出量のうち9割以上は焼結工程からの排出。
出典:2014/11/25付 鉄鋼新聞